背景と成り立ち
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、リハビリテーションを通して人々の健康や幸福の増進にかかわる専門職です。
リハビリテーション専門職はICF(国際生活機能分類)を用いて対象者の疾病・障害、身体構造・心身機能、活動、参加、個人因子、
環境因子を捉え、適切なリハビリテーションを提供します。
性的指向や性自認等は個人因子に、セクシュアリティを基盤にどのようなコミュニティに参加しどのような人間関係を形成するかという
側面は活動・参加および環境因子に属する因子であり、セクシュアリティはICFの枠組みで捉えられるものです。
しかしながら、当会が発足した2020年時点において、日本国内ではリハビリテーションの領域において性的指向や性自認等を扱った研究や実践はほとんど報告されていません。
公的なメッセージとして「作業療法士の職業倫理指針」に性的指向による差別禁止が明記されていますが、養成校の教育カリキュラムや
卒後教育においてセクシュアリティを学ぶ機会は限られており、理解が十分とはいえない現状がありました。
近年、日本国内では「LGBTブーム」と呼ばれる性的マイノリティに対する理解促進等の動きが目立っています。
医師や看護師のカリキュラムではセクシュアリティに関する内容が組み込まれるなど、先駆的な取り組みも始まっています。
リハビリテーションの領域においても、先の職業倫理指針に「さまざまな人権問題に対する理解と認識を深める努力が必要である」と明記されていること等を根拠に、
また、社会の変化に伴い社会化・可視化されつつある性的マイノリティ当事者の健康と幸福に専門職として資するために、
セクシュアリティについての知識・態度・行動の学習を進めていく必要があります。
また、性的マイノリティに限らず、セクシュアリティ(性のあり方)は多くの人にとって活動や参加、健康状態に影響する重要な側面で
あることを改めて認識しておく必要があります。
このような背景の中、2020年にリハビリテーション専門職の有志で当会「にじいろリハネット」を設立するに至りました。
当初は「ジェンダーとセクシュアリティについて考える療法士の会(仮)」という団体名だったのですが、
多様性の象徴である「にじいろ」、リハビリテーションを表す「リハ」、多くのセラピストや当事者、関係者らと手を取り合って
ネットワークを広げていきたいという気持ちを込めた「ネット」をつなげ「にじいろリハネット」を正式名にしました。
